フェイクマネー 2008 11 23

書名 ドル崩壊
著者 三橋 貴明  彩図社

 この本のタイトルは、「ドル崩壊」となっていますが、
本の中味からすると、「フェイクマネー」の方が、わかりやすいと思います。
この本には、フェイクマネー(証券化商品)の製造過程が詳しく書かれているからです。
その上、金融記事を引用し、それを解説するという形式を取っていますので、
難解な金融が、わかりやすいものとなっています。
 さて、現実には、フェイクマネーによって、
ドル崩壊が起きにくい状態になっています。
 フェイクマネーをつかんでしまった、
いや、ババ抜きのババを引いてしまったヨーロッパは、
さらに、住宅バブルの崩壊で、かなり重症と推定され、
その結果、現在、円とドルが、二強の通貨となっています。
円が強いのは理由があるからですが、
ドルも強いのは、想定外だったかもしれません。
 本来であれば、ユーロの出現で、
ドルは、基軸通貨の座から転落していく運命だったのです。
 しかし、アメリカが、証券化商品という大量破壊兵器を、
ヨーロッパに、大量に撒き散らした結果、ヨーロッパが重症となっています。
「これが、アメリカの高等戦術であり、ドル防衛だったのか」と言う人もいるくらいです。
 さて、この本には、あっと驚くような文章があります。
(以下、引用)
 欧州の住宅バブルは、ある意味でアメリカよりも深刻な状況である。
アメリカでは、曲がりなりにも、一般の国民が「住むため」に住宅を購入していたが、
欧州諸国の不動産バブルは、より投機色が強い。
 何しろ最もバブルが激しかったスペインに至っては、
住宅数が人口の8割を上回ってしまったのである。
スペイン一国の住宅着工件数が、イギリスとフランス、
それにドイツの3カ国の合計を上回ってしまったのである。
 スペインの各銀行が保有する貸出債権の中で、過半、
つまり50%以上が不動産関連という、異様な状況である。
(以上、引用)
 「住宅数が人口の8割を上回ってしまった」とは、すごい。
自動車王国の日本では、自動車が一人一台となりつつありますが、
スペインでは、住宅が一人一軒でしょうか?
 こうしてみると、アメリカの住宅バブルは、たいしたことはないと思います。
バブルがひどいのは、アメリカよりも、ヨーロッパだったのかもしれません。
ヨーロッパ 2007 12 2
 きっと、ヨーロッパは怒っているでしょうね。
「アメリカ人は、中国製のペットフードに問題が発見されて怒っているが、
我々は、アメリカ製の金融商品に問題(サブプライム問題)が発見されて、
大損をしてしまった。どうしてくれる」と。

















































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